猫の名はちょいと。

猫と映画好きが綴る、ささやかな日常

蘇る、冷静と情熱のあいだ

久しぶりに中学校の同級生から連絡がきた。

地元仲間と飲んでいて、みんな今頃どうしてるかなーという話題になり私のことを思い出したらしい。相手は中学生のころの元カレってやつで、懐かしい気持ちになった。

 

その頃のお付き合いといえば、手を繋ぐだけで精一杯。

彼は身長が180㎝でわたしと25㎝も差があったので、街でウィンドウに映る姿がちぐはぐに思えて恥ずかしかった。本格的なデートといえば電車に乗って映画館へいくこと。2駅先の映画館に「冷静と情熱のあいだ」を観に行ったことを覚えている。

その作品を選んだのは私で、ちょっと大人すぎたかしらーとドキドキしていた。でも映画の中盤あたりから猛烈にトイレに行きたくなり、頭は真っ白でストーリーが全く入ってこない。どうするか悩み続けて、ついに限界がきて席を立った時には顔から火が出そうなほど恥ずかしかった。デートって疲れるなぁと思った。

それからは映画の前にぜったいにトイレへ行く、という教訓を得たので途中退席したことは一度もない。

 

そんな彼も今では父親になった。みんなで飲もうよという話から、「予定を合わせるのが大変だから2人でもいいし」と返信がきて、なんか猛烈に冷めてしまった。音にするとケチョーンという感じ。

その後も「最近どんな感じ?送ってよ」などと言われ、中学生のころに戻ったようなノリにケチョーンとなった。こんなかんじでーす!と自撮りを送れるほど図太くもない。そして妻子持ちと2人で飲むのも面倒だ。きっと彼の時は止まっているか、もしくは一瞬ワープしてあの時に戻りたいのだなと理解した。人生の苦みも知った今、わたしに響くのは誠実さだけ。ちっともワクワクしない。

 

こういうとき、未婚の女というものは多少なめられているんだなと思う。相手にそんなつもりは無いかもしれないが、気軽に誘いやすいのは間違いないはずだ。

そんな扱いが嬉しいはずもなくフェードアウトしたけど、ただもう一度あの映画を観てみるか、という気分にはなった。そういえば主題歌はエンヤだったな。いまエンヤはどうしているだろう。

 

中学のころのシャイな私はどこかへ行ったけど、映画への愛情だけはどんどん深まっている。どんな形にせよ、思い出のある映画っていいものだなぁ。