猫の名はちょいと。

猫と映画好きが綴る、ささやかな日常

免許返納合戦

40半ばの同僚が、「親に免許を返納するようにお願いしたら泣かれちゃってさー」という話をしていた。

運転に少し危なっかしい所があり、ご両親も不安になってきたようだから、免許返納には納得してくれるだろうと思ったが…そうスムーズにはいかなかったようだ。

 

まず、プライドが傷ついたらしい。自分はまだまだ運転できる、それに頭もしっかりしている。歳だからといって馬鹿にしないでほしいと。

そして運転は日々の楽しみだし、子供や孫を迎えにいくことが生きがいなのだという。それを奪うなんて…そんな意地悪をするなんて…と泣かれたそうだ。

意地悪ではなくてあなたのためを思って言ってるんだよ、と誠意をもって伝えても聞く耳をもたず、あまりにも頑ななので、同僚は交換条件としていくつかの提案をした。

毎週土曜日は買い物や病院につきあうために車を出し、電動自転車もプレゼントすることになったのだ。さらには免許返納をした日に、居酒屋で盛大に返納式をしてお祝いするそうだ。

それでやっと、渋々納得したという。家族だからこそ遠慮せずに、わがままになってしまい大変だったと。

それでも親の気持ちを無下にせず、きちんとフォローしてあげる同僚の優しさに感心した。

 

うちの両親はといえば、あまり運転するタイプではなく、そのうえ慎重派なので60歳を過ぎたあたりから運転しなくなった。自分たちで判断してくれてありがたい事だ。

 

でもそれとは別に、歳を取るごとに人の話を聞かなくなっている気がする。

訳あって実家に出戻っている弟によると、母親はだいたい朝5時ごろに目覚めてテキパキと家事をこなし、午後3時頃には眠くなっているらしい。その頃になると何を話しても相槌だけで、本当に聞いているかは怪しいようだ。

さらには、弟が話している間はずっと彼の歯を見つめていて、どんな話題にもウンウンと頷いてくれるものの、最終的に「はやく歯医者に行きなさい」と言われてジ・エンド。「あの人たち、歯しか見てないよ」と憤慨しながらも彼は歯医者に通っている。

実家で暮らすのは大変だなぁと気の毒だけど、笑える。

 

両親はこれからもっと話を聞かなくなり、眠くなり、関係ないことを繰り返し言うようになるかもしれない。親子の関係が、次のステージを迎えるという気がする。

同僚のように、理不尽であっても愛を持って接していきたいものである。