猫の名はちょいと。

都内で編集として働く30代。猫と映画と音楽をこよなく愛する女が綴る、ささやかな日常。

若かりし頃、ファッション誌に教えてほしかったこと

私は、ギャルが終わりかけの時代を生きてきた。

 

やけに細くて黒くて露出が激しく、どこか清潔感に欠けたギャルたちを薄目で見つつも、ちょっと憧れていた世代だ。彼女たちは声が大きくてとにかく元気だった。細かいことは気にもせず豪快で、風呂に入らない代わりに香水を振りまき、油性マジックでアイラインを描く姿には恐れ入った。

 

4歳上の兄が家に連れてくる彼女は、いつも華奢なギャルだった。あまり喋ろうとしない私に大量に服をくれたが、とんでもなく小さいサイズで、さらにタバコと香水の臭いがしっかり染みついていた。試しにTシャツを着てみると少し手を上げただけでヘソが見えてしまい、こんな姿で親の前に出るなんて考えただけで恐ろしくなった。

 

そもそも自分の顔立ちも性格もギャルに向いていないと悟っていた私は、『non-no』の田中美保や『CanCam』のエビちゃんなど、清楚な方向にいこうと考えていた。あの頃のモデルの影響力はすさまじく、ずっと雑誌を見つめていても飽きなかった。

 

思春期の頃は、髪をボブにすれば田中美保になれると思っていたし、食べずに痩せればエビちゃんに近づけるだろうと思っていた。今はまだ成長途中だから努力次第でいくらでも可愛くなれるのだと。

 

そして雑誌の真似をするたびに自分に絶望していった。同じような服を着てもぜんぜん違う。それは思春期の私にとってすごく残酷なことだった。人はそれぞれ体型が違って、ダイエットしても骨格は変わらないという事をなんとなく受け入れられなかった。「ご飯を減らしてダイエットに成功」「胸を大きくするには毎日シャワーをあててマッサージ」という記事を真に受けた。

 

本当は、もっと自分を受け入れて自由になりたかった気がする。みんなと同じじゃなくても色々なファッションがあって、自分に似合うものはどうやって見つけるのか知りたかった。痩せて華奢になるのではなく、筋肉をつけて引き締めれば、もっと服をかっこよく着こなせるのだと知りたかった。でもその情報を見つける術がなかった。おかげでマッスルメモリーがひとつも無い私は、今とても後悔しながら筋トレをしている。

 

ネットが発達した現代だったら、違っていたのだろうか。最近は「鍛えてお尻を引き上げる」というような健康的なブームがあって羨ましい。逆に、お金をためて韓国に飛びたち整形するという手段を知らなくてよかったのかもしれないとも考える。

 

思春期に目にするものは今とは桁違いの影響力がある。だからこそあの頃のファッション誌に、「人それぞれ違うものを持っていて、自分を知ることが魅力につながる」という考え方を教えてほしかったのかもしれない。本当のお洒落の楽しみ方を。

いまのファッション誌を読む思春期の子たちは、どんな気持ちを抱いているのだろう。

 

 

人生でいちばん暇な春

タイトル通り、今年はコロナの影響で「人生でいちばん暇な春」を過ごした。

正確には「いちばん」かは分からないけれど、あと40年は先だと思っていた老後を先に済ませてしまったような気分。老後の方がもっと忙しいかもしれない。

コロナに脅えながらも、周囲の誰も発症しなかった側の、呑気な感想だと思われるだろう。

 

仕事ではクライアントがコロナの影響をモロに受け、自粛期間中は動けないとの事だったので、我が社もしばらく仕事がなくなった。パラパラと出勤している人はいたものの、ほとんどの社員は自宅待機。給料はきちんと出たので正社員のありがたみを感じる。残業代がないので初任給のような金額だったけど、フリーで収入がなくなったと嘆いている友達のことを思ったら、恐ろしく贅沢なこと。

 

人生は、自分から何かしなくても勝手に色々と起こるものだ。

元気なのに外出してはいけない日がくるなんて。

仕事がないから会社に来るなと言われるなんて。

電車で1時間ほどの実家に帰れず、猫にも会えないなんて。

時間があり過ぎて、大好きな映画を観ることにもうんざりするなんて。

健康を気にして敬遠していたオートミールを食べ始めるなんて。

 

社会人で独身のわたしは、学校に行けなくなった学生や、子育てをしている人たちに比べたら影響はずっと少ない。

それでも喋る人がいない孤独や、ベランダで日向ぼっこしているときに聞こえてくる家族の笑い声で、こんなに精神が追いつめられることは今まで無かった。寂しくてこそっと涙を流したこともある。

 

世界中が同時に、今までの価値感がひっくり返される日がくるとは、不謹慎ではあるがものすごい経験だ。生きている間に映画のようなパンデミックを体験をするなんて思ってもみなかった。「明日は何が起こるか分からない」とはこの事だ。

 

2020年の春、きっとそれぞれの人が何かを失い、そしてなにかに気付いた。この怠けた脳みそを叩き起こして、6月からは前に進まなければいけない。

この夏は、あらゆるものに感謝する特別な夏になりそう。

 

 

ウィンドウ越しに眺めた春服

自粛している間に春が終わり、もう梅雨が近づいている。

5月前半はよく晴れて、仕事も自宅待機だったので毎日散歩をした。街のお店はどこも閉まっていて、さわやかな色合いの春服はウィンドウ越しに眺めるだけ。誰の手にも取られず、着られることもない服たちを見ていると切ない気持ちでいっぱいになる。「2020年の春」という季節ごと奪われてしまったような。

 

家にいる間はとにかく消化によいものを食べ、よく体を伸ばし、健康に気を使った。YouTubeで必要な栄養素の勉強もして、糖質を制限すればいいってもんじゃないのだと学び、なかやまきんにくんの動画で紹介されていたオートミールにはまった。

オートミールは水や牛乳でふやかして食べるもので、和食にも洋食にもデザートにもなって応用が効く。最近の朝食は、バナナや卵を混ぜたオートミールパンケーキなるものを作り、甘いものを食べたい欲も満たされていい感じだ。

 

そのおかげか、肌やお腹の調子が整えられてきた。
ストレッチの効果もあり、すこし下半身の肉が落ちてきたような気がする。

せっかく体がすっきりしたのだからこの夏はパリジャン風にいこう!と思い立ち、ネットでフランスのブランドの服を眺めては妄想を膨らませた。

 

シンプルでラインが綺麗な服が好き、というくらいのこだわりしか持っていないけれど、昔から雑誌や映画を観るたびにパリの女性のようなスタイルに憧れていた。

体のラインが美しく見え、漂う上品な色気…。

しかしあれはスラッと長い手足をもつ女性に似合うのであって、小柄で膝下の短い私にはなかなか難しいスタイルだと半分諦めてきたのだ。

 

そして今日、勢いで買ったフランス製の膝丈スカートが届いた。黒地に星屑のような淡い柄。テロンとした素材がとても可愛く、あーかわいい最高!とうっとりする。

このスカートにサンダルを履いて、マスクも無しで夏を楽しみたいものだけど、これからどうなるのだろうか。

「2020年の夏」こそ思いっきり満喫したい。

 

お題「#おうち時間

Zoomを使いこなす母

コロナによる自粛生活も長くなり、母は友達とのお茶会をZoomに切り替えたようだ。

スマホを持つにしてもLINEを始めるにしても、こちらから「使ってみたら?」と提案すると頑なに拒むわりに、自分から使うと決心したあとの行動力はすさまじい。

今ではスマホipadもかなり使いこなしている。

 

そんな母は、顔を見て話すことが楽しくなったのか、実家からよくビデオ通話をかけてくる。LINE経由で電話がきて、耳に当てると「もしもーし、顔見えてる?お母さんの顔は見えてるんだけどなー」とかなり一方的。

きのうも夜に突然かかってきたので、「すっぴんだし髪ボサボサなんだけど…」と言いつつビデオ通話に切り替えると、「ぜーんぜん大丈夫、やっぱり若いからいいわね。友達とZoomしてると、みんな皺だらけで見れたもんじゃないし、声が聞こえないって画面に近づくから悲惨なのよーアハハ!」と笑っていた。そして猫たちを画面に映して、実況中継してくれる。

 

まだ会社勤めをしている父は、新しい生活に慣れるまで、母よりも時間がかかったようだ。はじめは頑固に通勤していたけれど、さすがに会社からもリモートを勧められて自宅で仕事をしている。しばらくは家にいてもウロウロと落ち着かなかったそうだが、やっとリズムをつかんできたようだ。もともと通勤が体に堪えていたようなので、これを機にリモートに切り替えた方が、心身ともに健康でいられるのではないかと思う。

 

電車で1時間ほどで行けてしまう実家にも帰れないのはつらい。猫にも会いたい。

でも両親ともにたくましく生きているようだし、癒し担当は猫たちにおまかせして、この状況が落ち着くのを待つばかりだ。

 

 

【映画】「マリッジ・ストーリー」家族は染みついちゃうもの

莫大な資金力もさることながら、アダムドライバーとスカーレットヨハンソンという配役をやってのけたnetflix

映画の形がこんなにも変わるとは…と驚くばかり。

わたしはamazonプライムしか入っていないので、話題の「マリッジ・ストーリー」を渋谷のアップリンクで観てきた。

 

映画「パターソン」でアダムドライバーにはまり、太いくぐもった声も大好きになった。彼が演じる普通の男が、ほんとうに普通でよい。

 

この映画は離婚へ向かっていく夫婦のストーリーなので、ずっと揉めているし、明るい映画ではない。でも二人が互いに認めあっていたこと、愛し合っていたと分かるシーンが散りばめられているから、家族になることの尊さも感じる温かいストーリーだ。

 

グッときたのは、妻が離婚間際だというのに夫の伸びた髪をカットしてあげたり、ほどけた靴紐を結んであげるシーン。愛情が冷めたとしても、家族という形がしっかり染みつき、体が勝手にお世話してしまうのはすごくわかる。

女というものは、無意識で相手の身なりや変化を観察しており、それを伝えたところで行動しないから自分がやった方が早い!と世話を焼いてしまう。

 

スカーレットヨハンソン演じる妻の、夫への愛情や嫉妬、もっと自分を見てほしいという気持ちにも共感するところがあった。仕事に夢中な夫、仲間に頼りにされる夫はすごくステキだけど、自分のことを見てほしい。お互いに向き合うこともなく、前だけを向いて生活する相棒になりたくない。「君だって今まで幸せだったろう」と言われ、「わたしの事を何も知らないくせに!」とさけぶ妻の言葉がズーンと重かった。

 

お互いを尊重しつつ、生活を営むということはハイレベルだよな。

夫婦はなってみなきゃ分からんなぁ。

 

モウリーニョみたいな上司が欲しい

前回の記事に書いたように、仕事でミスをしたために消えたくなるような日々を過ごして、やっと休日になった。あー、疲れた。。

 

金曜の夜は、駅から家までの帰り道でこらえていたものが溢れだして、グスグスと泣きながら帰宅した。胸がギューッとなるくらい辛いときは、泣くことが一番すっきりすると知っている。だから思いっ切り泣く。

 

今回は外注に依頼していた仕事でミスがあり、私もクライアントも見逃してしまったのが原因。外注先から報告書をもらったり、社内での報告書を作ったりとものすごく慌ただしかった。

でも何よりグッタリしたのは上司の対応だ。怒るタイプではなく穏やかだけど、女々しいところがある。ミスした私より項垂れて、クライアントよりもまず社内にどう報告するかを気にしていた。その後は「どうしてミスが起こったんだろう…ミスを撲滅する方法はないのか…」と悩みつづけて、いま動いている他メンバーの仕事もチェックしはじめる始末。。

 

ミスした立場で言えることではないが、ミスを撲滅することは不可能に近い(業界的に)。今回はクライアントにも責任があるのと、普段からよい関係が築けていたので実損はなかった。こういう場合、対策をしっかり話し合ったら、次のステップは「残念だけど仕方ない、反省して次がんばろう!」と切り替えることだ。

けれど上司はなかなかそのステップに行けず、ミスが起こることに脅え続けて、来週も話し合うと言っている。なので私もいつまでも切り替えられず、ずっと辛い。周りのメンバーだってしんどい。上司には私の辛さを推し量るような余裕はないみたいだ。

 

なんだか腑に落ちなくて上司の気持ちを考えてみたら、思い出した。その上司は前にいたチームで大きなミスがあったときに、異動を命じられてやってきたのだ。それが相当なトラウマになっているに違いないし、社内的にも立場がないのかもしれない。だとしたらスミマセン。。。

 

だけどアナタ、落ち込んでいたって仕事はどんどん入ってくるのです。さらに人も足りないんだから、年末は残業オンパレード。上司がそんなに項垂れていたらチームの活気だってなくなるし、そういう雰囲気のときってミスが続いたりするもんです。

だから私が応援しているイングランドのサッカーチーム、トッテナムホットスパーをご覧なさい。新しく就任したモウリーニョ監督の手腕を。選手をきちんと適正なポジションに配置し、君は何をしたいのかと本音を探って魅力を引き出し、士気を高めるのです。君たちは最高のプレイヤーだと褒めたおし、もし試合中に交代させても「君には悪いことをした。君は最高のプレーをしていたが今回の戦術のために仕方なく下げたんだよ、申し訳ない。」としっかりフォローする。チーム全体の雰囲気をよくすることが、どれだけ大切なことかを学ぶのです。

 

なんつって、偉そうに語りましたが、ご迷惑をおかけして本当にごめんなさい。

 

ミスしても生きるしかない

今日、仕事でミスが発覚した。

私は怒られることが何よりも嫌いで、口出しすらされないように働いているところがある。それをプライドというのかは分からないけど、仕事に関しては完璧主義なのであんまり大きなミスはしてこなかった。

だから、多くの人が関わっている仕事とはいえ、明らかに自分のミスだという事案が発生すると、受け入れるまでかなりの体力と精神力が必要になる。平気な顔して電車に乗って帰ってきたけれど、心はズタボロだ。

 

しかも今回は、クライアントと打ち合わせをして直帰するときに発覚したので、まだ会社には知らされていない。明日、自分から上司に報告しなければいけないという苦しみが待っている。もう仕事に行きたくないどころか、土に還りたい。風になりたい。

 

最近、こんな風にモヤモヤしたら体を動かすのが一番だと知った。運動部に所属していたくせに運動オンチなわたしは、ジムに通って鍛えることが好きなんて人とは一生分かり合えないと思っていた。

だけど先日、あまりにも天気が良かったので近くの公園までジョギングしてみたら、最高に気持ちよかった。モヤモヤしたら、甘いものを食べるより、酒を飲むより、体を動かすことがいちばんスッキリするんだって今さら気がついた。気持ちが軽くなる。

 

だから今日は家についてから、とりあえずレモンサワーと餃子で一杯やって、ほろ酔いでドラマをみてジーンとし、それからyoutubeで筋トレした。

はまっているのはB-Lifeのマリコ先生。動画が豊富なので、その日の気分で色んなヨガや筋トレを選べる。マリコ先生はいつも元気ハツラツ、そしてスパルタ。

筋肉が無さすぎるのでふへへへ…とへんな笑いが出てくるが、体力の限界までチャレンジすることがほぼ無い人生だったので、今こそと頑張っている。

頑張るのはいい、とても健全だ。

 

スッキリして酔いが完全に醒める前に、寝ようと思う。

明日わたしは土に還り、風になる。

勇気をください、マリコ先生。